生命への畏敬~フレーザー島

 
フレーザー島とディンゴ ( 写真提供: ナチュラ・エコツアーズ、ツアー中に撮影)

フレーザー島とディンゴ ( 写真提供: ナチュラ・エコツアーズ、ツアー中に撮影)

“Ecology is who’s eating whom in life; Everything is either eating or being eaten” by Peter Mayer
「エコロジーとは生命の中に誰が誰かを取り入れること。すべての生物は食べるか食べられるかである」

フレーザー島で唯一の日本人エコガイド、矢萩さん

フレーザー島で唯一の日本人エコガイド、矢萩さん

フレーザー島で唯一の日本人エコガイド、矢萩さん私が、首都キャンベラの大学で「地球科学・人間生態学」を専攻する大学生だった6年前、いくつもの偶然が重なり「フレーザー島」)という世界最大の砂の島でエコツアーを始めることになりました。オーストラリアを代表する世界遺産ですが、日本人には広く知られていない場所なので、現在まで唯一の日本人ガイドとして活動しています。

エコガイドとして自然と接せる時に大切なことの一つが「生命への畏敬」の念です。たとえば、フレーザー島には、純血のディンゴが生息していて、ツアーでも毎回のように彼らに出会います。よく危ない肉食獣だと言われていますが、「島の王者」である彼らとの出会いを、私はとても楽しみにしています。
フレーザー島エコガイドディンゴは生物学的に犬と狼の中間にあたり、狩猟生活や行動パターンは狼と同じです。写真のように、筋肉隆々の見事な逆三角ボディー(!)で数メートルまで近づいてくることもしばしば。75マイルビーチに流れ着いた瀕死のイルカ、大型サメやウミガメを、顔が血まみれになりながら喰らいついている姿にも何度も遭遇しました。

フレーザー島エコガイド

リアルの自然界では、すべての動物は他の命(またはその一部)を奪うことによって生命を維持しています。「死」を前提に「生」と「命」が成り立っているという自然界の掟は、残酷にも見えますが、美しい生命の循環ですね。「目は心の窓」と言いますが、自然界の真理を見つめる時、人の心は感動に満たされます。ディンゴと目が合うと「欲望のために人の命や物を奪うのは人間だけだよ」と話しかけられている気がします。そんな自然界の発するメッセージを人々に通訳することも、自然ガイドの大切な仕事のひとつ。フレーザー島の動植物や砂と触れ合って「人生観が大きく変わった」という声を聞くと、とても嬉しくなります。

我々は生態系の頂点に立って、たくさんの命を戴いて毎日を生きています。でも、あらゆる命に対して、感謝して、守っていくという責任がないとダメです。地球環境問題の知識が広まっても、ライフスタイルの変革につながらないのは、地球と自分がつながっているという実感が決定的に不足しているからではないでしょうか?自然の真理を「実体験」として感じる旅、人と自然の触れ合いを楽しむ旅・・・そんなエコツアーになるように、今週も「生命への畏敬」を忘れずに、フレーザー島に行ってきます!!今回はどんな、出会いが待っているのか、ワクワクドキドキ(笑)

ツアーデスクからフレーザー島で唯一の日本人エコガイド、矢萩さんがガイドをつとめるナチュラ・エコツアーズのフレーザー島ツアーはこちらでご覧ください:

シドニーマラソン

この週末は、シドニーマラソン。シドニーマラソンで金メダルをとられた高橋尚子さんも参加されるそうです。

シドニーマラソンも、もう10年前のことになってしまいましたが、高橋選手の姿は今でも強く印象に残っています。

市内から西へ向かうアンザックブリッジの上、フィッシュマーケット近くにいたところ、頭上をヘリコプターが何機かとびかう中、ラジオで「トップは日本選手グループ」とかと実況中継が入りました。周囲の全く知らない人から、「日本人?良かったね」と声をかけられ、反射的に「はい、ありがとう」、などという会話をしているところに、わーっという声がひときわ高くなって、来たぞっ!と思ったら、先頭に高橋選手の姿が。その速いこと、速いこと、シューッて感じで駆け抜けて行かれました。その小柄な姿と、上腕の細さは、体格がいい方の多い他の後続の選手とは、際立っていました。

さらに翌日。ロゼールの近くを車で通りかかると、歩道をゆっくりしたペースで走る小柄な女性が。ふっと見ると、あれは昨日オリンピックでフルマラソンを走ったばかりの高橋選手に間違いありません。

後日学生時代陸上部だった知り合いにその話をすると、一流選手は休まないのよ、と当然のごとく言われてしまいました。でも、フルマラソンなんて野望としか思えない身にとって、さらに翌日も走る、走れる、走る気になれるというのは、本当にすごい!その一言。

そんな努力家であるにも関わらず、「努力してます!」という悲壮な感じなしに、周囲の応援も自然にしておられる、そんな感じが今でも心に残る思い出です。

http://www.sydneymarathon.jp/

TwitterのFail Whale

Twitterでは、サイトのアクセスが増えすぎると画面にクジラ、Fail Whaleが表示されるそうですが、そのイラストを描いたのは、オーストラリア シドニー在住のYiying Luさんというイラストレーターだそう。

え~っ、アクセスできないのぉっ、という怒りをふっと和らげてくれそうな、女性らしい可愛らしいイラストです。このクジラの絵のファンクラブまであるということですが、本当にオーストラリア人はクジラが好きです。

Yiyingさん、最近はイラストだけでなく、標識やインフォーメーションデザインなどでも幅広く活躍されているようです。お散歩中の犬の「落し物」を拾う標識など、そのユーモアでみんなを楽しくさせてほしいものです。

http://www.yiyinglu.com/sc/illustration

NHK大河ドラマ「龍馬伝」の音楽

NHK大河ドラマ「龍馬伝」のテーマ曲の作曲と歌を歌っているのが、オーストラリア人ときいて、そういえばオーストラリアと同じように壮大な大地の香りのする曲、と妙に納得。

 さて、その方リサ・ジェラルドは、メルボルンのギリシャ-トルコ系の地域に生まれ育ったアイルランド系オーストラリア人だそうで、グループDead Can Danceとしてイギリスで活躍後、オーストラリアに戻って、スノーウィーリバーに住んでいらっしゃるとのこと。スノーウィーリバーといえばシドニーとメルボルンの中間ぐらいの、木や水に囲まれていそうな所です。

メルボルンもギリシャ以外の国でギリシャ系の人口が一番多いといわれ、ギリシャ料理やイタリア料理など地中海系の料理がおいしいことで知られている街ですし、アイルランドと地中海とオーストラリアのエアーズロックの大地が醸し出す音楽なんでしょうか、とまた納得。

さらにこのリサ・ジェラルドさん、日本関連での龍馬伝や映画「市」の他に、グラディエイターやインサイダーなどのハリウッド映画の作曲をして、ゴールデングローブ賞やアカデミー賞の作曲部門の候補になったこともあるというグローバルな活躍ぶりです。作曲した映画のリストには、バラカ(原題: Baraka)やクジラの島の少女(原題: Whale Rider)など、重厚かつ自然に関係のある映画も目につきます。

坂本龍馬といえば、日本全国の幕末志士と交流をもち、海援隊を育てたスケールの大きな活躍をされ、明治体制の草案も書かれたとのこと。草案の中にご自分の名前がないことから、将来をたずねられて、海外にでも行くとかスケールの大きな回答をされたそうですが、早世されなければオーストラリアへ航海されることもあったでしょうか?エアーズロックやグレートバリアリーフを見られたら、さらにスケールアップされたでしょうか。そんな小説を読んでみたいな、とふと思いました。

http://www.lisagerrard.com/